参加者の感想
Photo by Koji Sakai
稲生一平 プロデューサー/陶芸家 東京都 
参加させていただきありがとうございました。
奥村さんの世界は、やっぱりすばらしく、とてもモティベイティングな世界です。

最近考えていることを通じて、会議の後半へのコメントとしたいと思います。
長文を避けるためポイントのみです。

このままいくと、我々の生活している地球はゴミの星になってしまうのではないか、そんな事を思う時があります。
それほどに、モノが身の回りにあふれていて、それでもモノが作り続けられているという事実です。

選ぶのに困るほどの着るモノ、メタボが社会問題化するほどの飽食などきりがありません。
人々が必要とする物作りから、利益のための、お金のための生産、もの作りになってしまっています。
企業における、来期の新製品という論議は、新製品が果たして必要かどうかという論議ではなくて、
かつ人々のそのモノに対する要不要でもなくて、企業の業績のための新製品になっています。

地球というこの星を、ごみの星にしないためにデザインに何ができるのだろうか
すべてがお金という物差し、経済という物差しが優先されてしまう世界に新たな物差しが必要なのでは
というのが問題提起です。
今我々が直面している、とても重要な課題のような気がしています。

ひょっとして原さんの問題提起と三度にわたる方向修正は、そんなところにあったのではなかろうかという
推測です。

ありがとうございました。

五十嵐雄一 建築家/プライム・ユー建築工房 北海道
率直に言って、期待していたよりもずっと面白い会議でした。聴くだけの立場ですが3時間が苦にならず、むしろ短く感じました。
当初はテーマに沿ったシンポジウム的なものを想像していたのですが、今回のテーマ自体が多義的であった事もあり、パネリスト個人の関心の在処や問題意識の相違から、僕の予想を超えた「会議」になっていました。

もちろん一つの問題提起に関連してパネリストが次々に発信していた訳ですが、前発言者の話にインスパイアされて別の話題に繋がったり、話題が流動的・拡散的であり、 時として噛み合わない議論もあり、それがかえって私的には楽しめました。

もとより簡単に結論や解決策が出るような軽いテーマではありません。深刻に悩んでも気分は晴れません。
聴衆としてはいろいろな話の中から自分にとって腑に落ちる、あるいは問題認識を共有できる事柄を選択し、頭の中で反芻し自己体験の補強などをすることで、自分も会議にシンクロしている思いを持つことができるのだと思います。

1回目の会議の様子は知らないのですが、このデザイン会議は議論を深めて方向性を導き出す場であるよりも、このようにいろいろな意見・知見をパラレルに噴出させ、討論を超えた深層にある本音の発露の場であり続ければいいなと思います。

原研哉さんが後半に提起しようとしていた(マネーに還元できない)デザインの社会的使命やデザイン行為のモチベーションの源なども、次回のテーマとして面白いかなと感じました。青臭い議論・発言、大いに結構だと思います。

山口信博 グラフィック・デザイナー 東京都
五十嵐さんから乾杯の音頭をおおせつかったのに、失言と非礼をしでかして落ち込んでおります。集団や団体への帰属意識も希薄な上にお酒も飲まないので宴会にもあまり出たことがありませんし、そのような「場」が好きではありません。そんなことではダメだぞという五十嵐さんの配慮だったのかも知れませんし、又「折形」という礼法に関わっているのだから、儀礼はおとくいだろうと誤解されたのかも知れません。
実は「折形」を研究するようになったのは、むしろ社会的な儀礼が自分に欠落していることを補うためだったのです。
さて、落ち込みながら、なにげなく手に取った本に柳田国男の「ホカヒ」の儀礼の一節が引用されていました。
「高千穂地方では、敬神の念の強い人たちが、酒を飲む前に指の先で三べんほど酒を空中に散らすことをホカつというさうである」『先祖の話』「誰とも知れぬものや我仲間で無い者にまで分配せられるといふことは、食物の第一次の目的から外へ出て居る。」と書かれています。共餐の儀礼の「乾杯!」はその場を往来する地霊や精霊に捧げられるものだったのですね。「我仲間でも無い者にまで分配せらる」よいう一文に驚かされました。「贈与」の問題です。「折形」の根本に横たわっている問題でもあります。マネーや価値や等価の交換を前提とする経済の問題を克服する方法はこの「贈与」にしかないと常々思っています。
このことは太郎吉蔵デザイン会議のテーマにもふれていることかも知れません。いつでも個人企業や個人の工芸作家のお手伝いをしていますので、自分のデザインが対経済効果を求められているわけではありませんし、自分のデザイン料が対価の交換だとも考えられません。どこかでホカヒを受けたりあげたりという眼に見えないものの交換を通じて交感したいと考えているのかも知れません。企業家や経済者からは冷笑を浴びたりデザイナーの地位の向上を目指している人からは叱られてしまうかも知れませんが、そんなことを考えています。
改めて「ホカヒ」の念を込めて「乾杯!」

池田博子 主婦 北海道
◎今年は大好きな中村好文さんのお話と、昨年ファンになった梅原さんと奥村さんの食のお話など楽しみにしていました。
特に今年のテーマがローカルとデザインということで、ローカル在住の身としては最も興味をひくディスカッションであり・・・(実際は、「マネー、マネー」でちょっと物足りないところもありましたが、これは聴衆の為でなくパネリストの方々同士の議論の場なので仕方ないですね)
どうしても東京などの大都市の方ばかり向いて、田舎には「デザイン」という価値観の重みが少ないような気がしています。

◎ネット社会になり、地域による情報の格差が無くなったように思われがちですが、ローカルな我が家周辺ではいまだにISDNで、詳細な情報のある重いホームページを見るのは至難の業。情報を発信される方には、こういう状況を強いられている難民も居ることを知っていただけたら・・・

◎原さんの「半角文字がいまだに使われている、恥ずかしい」という発言をお聞きして「そうなのか、あれはそんなにひどいものなのか」というオドロキ。そんな話を耳にする事が出来るのもオモシロイ会議・・・ただのヤジウマとして楽しませて頂いています。

◎デザインの重要性・機能性は造形美のみならず、奥が深いものだなと思いました。デザインの文化に及ぼす影響を実感した有意義な時間でした。
楽しかったです。また参加させて下さい。

Photo by Asako Hada (Left, Middle), Koji Sakai (Right)
池田陽子 主婦 北海道
大変なお手数でご苦労と思い乍らも「再び」と願って居りました第二回目に出会えてラッキーでした。
「お金」についてというテーマで面白い展開があって、自然の中の渡り鳥が空の大航海に備えて絶えず綿密な毛づくろいを欠かさない姿を想い出し、地上に這いつくばっている人間の毛づくろい、丹念にやらなくちゃーと思いました。
おいしいおいしいお料理、すてきな会場づくり、etc.・・・
有り難うございました。
ディスカッションの間中、だんだん酸欠になってくるようで、夏ですから前後の戸を開放して、大きなすだれの目かくしを置いたら涼しいナーと思いました。

荒井千恵子 ヨガ講師 北海道

初めての参加です。
デザインという仕事とは縁もない毎日ですが、お友だちの池田さんからのお誘いで「行ってみたい!!」とどんな会議かもわからずの参加でした。
パネラーの皆さんの熱のこもった意見と自然体の雰囲気が、この蔵だからこそ作り出す空気感かな!?と、ここに参加出来て良かったーと充実感も・・・
でも、もっともっとお話が聞きたかったです。
私は旭川でYoGaの講師をしています。職種はちがっても仕事に前向きで情熱があり、悩み、考え、自分と向き合いという事は、同じだと感じました。
皆さんのエネルギーをいただいて、この満足感(心もお腹も(笑))で今日をデザインしてみます。自分をですヨ!

ありがとうございました。

折田昌治 建築設計 所員 北海道
会議の準備等ありがとうございました。
良いオモテナシを受けてからの会議は心地よいものでした。
また、参加者は非常に刺激を受ける会議となったと思います。
各パネリストのデザインの志を垣間見れたことが何よりすばらしかったです。
北海道で、あのパネリストを垣間見れる会議は他にありません、
来年もぜひ今会議の様なパネリストと共に会議ができれば何よりです。

毛利元信 (株)エー・ティ・エー 神奈川県
今回北海道の滝川に出向いてデザイン会議をきけた事は
今後の自分の仕事をしていく上ですごく刺激的で勉強になりました。

特に原さんの「世界のマネーゲームの影響による、企業は成長しなければならないという前提をもとにした、常に前年比101%以上の効果、利益をあげる新しいデザインをしなければいかえないのか?」という問いかけに
自分も含めて、会場のみなさんにも警鐘を鳴らしていたとおもいます。

常に新しい事、新しいアイデア、デザインをつくっていく事に向かってきた私達は、
原さんのいう事に1度、耳をたて、たちどまり、考えるという事ができたという事が
このデザイン会議にきてよかったと感じました。

原さんの問いかけは
もうデザインという範囲をこえた人類(世界の中の日本人)の今後の生き方、
宗教感にかかわる事だなと感じたしだいです。

この会議は問いかけを出しあってまとめてある方向性、答えは出してはいきません。

現在いろんな業界で第1線で活躍されている方の
「贅沢な雑談」を滝川まで聞きにいくという不思議な会議でした。
でも、生であの空間で聞けた人はほとんどが共感、共鳴できる問いかけがあり、
それぞれがまたその「問いかけ」をもちかえり
家族に、職場に、友達に話す、話あうという事がとても意味ある事だとおもいます。

自分もさっそく、職場、友人に話をしたらとても興味深く聞いてくれました。

またその人たちが別な人に伝わっていく事により
原さんの問いかけが意味をもってくるのだと勝手に想像しています。

また、来年も時間をつくっていきたいとおもいます。

最後にスタッフの方々ご苦労さまでした。
ありがとうございました。

Photo by Koji Sakai
高橋尚基 デザイン業 北海道
今回の会議ではデザインする活動はビジネスと割り切れない部分も多く含んでいることを改めて感じ、デザイナーは、企業に対してビジネス上の利益をもたらしていく以上に、(企業を介して、)現在の様々な社会の問題に対して、有益な貢献や変革を示唆し続けることへの志の大切さを学びました。

西山さんからは企業の依頼と結びつくことを前提としない、時間的物理的経済的にも真の意味で独立すべきデザイナーとはという点でデザイナーという職業の存在理由を提起させられました。

会議を総合して、最近「社会起業家」というを耳にしますが、そのあたりの活動定義がこれからのデザイナーのヒントになるかということも感じ、とりわけ、辺鄙な地方に在住するデザイナーとして、今回の会議は有意義な時間となりましたことに感謝します。

松川泰昭 札幌市経済局ものづくり支援担当課 北海道
今回初めて、デザイン会議に参加させていただきました。
デザインの対価という切り口での、原さんと西山さんの議論は非常に興味深いものでした。
原さんの「金額では換算できない価値」や「成長を目指さず身の丈にあった企業経営に対してデザインができること」というお話に共感するところもありましたし、企業経営者(特に中小)の中に渦巻くデザイン料に対する不信感や誤った理解がある中で、西山さんが目に見えない価値を経済的なものさしで理解可能なレベルに落とし込もうとして努力されている点も理解できるところがあります。

当方は、デザインを活用して市内中小企業の高度化や商品の付加価値を高めることを支援する事業を行っておりますが、「デザインは経営戦略」という考え方はなかなか理解されない現実があります。

「デザイン」が札幌の企業の中で、共通言語として扱われるようにがんばっていきたいと思いました。

参考までに、当方の事業をご紹介したいと存じますので、ご覧ください。
http://www.city.sapporo.jp/keizai/sapporo-style/

三枝史子 コピーライター 北海道
「自分の環境に置き換えて」
グラフィックデザイナー、建築家、フードコーディネーター。
分野は違えど、モノづくりの現場で活躍されている方々のお話は、
とても興味深いものがありました。
とくに、梅原さんの「ミカン箱のおじさん」の話には、
地方で仕事をする者として、おおいに共感させられました。
(たくさん笑いましたけど、笑えません・・・)
が、パネリストの皆さまのお話がどうこうより、
あのステージで話された内容を
そのまま自分たちの仕事環境に置き換えて、
同席した夫とあれこれ話し合えたことが、
いちばんの収穫と思っています。
また、何かの結論を求める会議ではないと認識しておりますが、
雰囲気もリラックスしてきて、
話が盛り上がってきたところで時間切れは、ちょっと残念。。。
来年は、パネリストの皆さまにお酒などを飲みながら
プレ会議をしていただき、
エンジンがあったまったところで公開ディスカッションに
臨んでいただくというのはいかがでしょう?
(・・・なんちゃって)

Photo by Koji Sakai
廣田肇 寿精版印刷株式会社 東京都
先日は太郎吉蔵デザイン会議に出席させていただき
さらに貴重な時間を過ごさせていただき
誠にありがとうございました。

パネリストの皆様の意見、思い、はたまた苦悩が聞け
大変有意義な時間を過ごさせていただきました。
あと個人的には、五十嵐威暢さんにお会いできて
ほんの少しですがお話させていただいたことが思い出になっております。
また来年も是非参加させていただきたいと思いますので
宜しくお願いいたします。

山口克弘 Yamamomo-Design 高崎デザイナーズアクト 群馬県

素晴らしい企画を実現してくださった五十嵐威暢さんと事務局の皆さん、
そして滝川のみなさん、ありがとうございます。

西山浩平さんは約束どおり青さ熱さをさらけ出してくださった。とても清々しい思いがしました。
西山さんが「物事の価値」について述べられた中にこんな言葉がありました。

「 物事の価値に対する支払いについて考えるときに、
合わせて考えなくてはいけないことは、私たちの生活の中に
【少ない価値に沢山のお金を払わなきゃならない仕組み】があるということだと思う。
その仕組み自体をもう一度調べ直して変えていくことができないだろうか? 」

会議で最も印象に残った言葉でした。
西山さんがテーブルに載せたこの言葉が引き継がれることはなく、
話が深まらなかったことがとてももどかしかった。

都会に住む人たちが「価値がある」と思い込んでいることは、
本当に価値があることなのだろうか? それを手に入れよう、保ち続けようと
右往左往しているうちにいつも後回しになってしまっている自分だけの大切なものがないだろうか? 
これは都会だけではなくて、都会を向いている地方に住む人にも同じ事が言えるのでしょう。
 
しかしもっと冷静に考えると、自分の大切なものを見つけるというのは
東京や大阪からの距離とは無関係なのではないか?
そんな疑問を抱いたときに「地方の」という考え方が少し緩まって、
自分の住んでいるところが初めて真ん中になるのでしょう。
そういうことが梅原真さんのおっしゃっていた「ジブンモノサシ」をつくるきっかけのかなぁ・・。
会議の後でそんなふうに思いました。

上方落語に「千両みかん」という滑稽話があります。
たったひとつのみかんの値段がタダになったり千両になったり、
その千両が「高すぎる!」と思う人もあれば、「安い!」と思う人もいる。
私たちがこの顛末のばかばかしさに腹をかかえて笑っていられるうちは
「ジブンモノサシ」を作る力がまだ残っているかもしれないなぁと思いました。

デザインを巡る言葉が日本中のいろいろなところからジワリジワリとにじみ出てきていますね。
その言葉がすこしずつ集まって流れになるのを待つときなのかもしれないですね。
太郎吉蔵デザイン会議は性急に答えを求めずにしばらくこのまま続けるのが良いのかなと思いました。
来年が楽しみです。

Y_a_m_a_m_o_m_o   D_e_s_i_g_n        Y_a_m_a_g_u_c_h_i
http://www.yamamomo-design.net
http://www.takasaki-da.jp/
http://www.wegner.jp/

〈後日談〉
滝川で出会った人たちから、eメールのお便りをいただき、
地元を紹介し合ったり、再会を誓ったり、新しいつながりが拡がりました。

そんな意味でもやっぱり滝川に行ってよかった!です。

筏久美子 出版編集 東京都
太郎吉蔵デザイン会議では、大変お世話になりました。
あのような会議は初めてだったので、大変新鮮でした。

これだけ一流の方々がお忙しい中、手弁当でかの地に集って語り合うという密度はすごいです。
交通費などの実費よりも、彼らがつかう時間の貴重さ。
会議の重要度が分かります。
さらに、それを聞くためだけにわざわざ集まってくるリスナーの方々の意欲。
久々に「熱い」会議に出た気がします。

ただ、3時間はちょっと短いと思いました。
ようやく一回りしたところで終わりになったので、
ちょっと消化不良な感じもしました。
せっかく彼らを一晩中拘束するのだから、
夜通し語りあうくらいのことをすれば、もっと議論が出てくるのでは。
だんだんハイになってきて、ホントの本音が出てくるのではないでしょうか。

また、この会議を地元にも開放してはどうでしょう。
地元の方は無料で参加できることにして。
中央の人たちがわぁっと行って、地元と絡まずに
あっという間に帰ってしまうのはちょっと寂しい気がします。
この会議を聴いてもらって、地元に少しずつ意識が浸透して
いったらいいのではないでしょうか。

。。。と、好き勝手なことを書いてすみません。
実行委員の方々のご苦労、本当に感謝しています。
まずはこの貴重な会議に参加させていただいたことにお礼をお申し上げます。

山崎修 石や 北海道
中抜けしたので、肝心な白熱した内容があまり分からなかったのですが、
とにかく、滝川に、滝川の雰囲気とは違う?タイプの人達が、
集まるということは、何かの可能性を感じます。
滝川市民も含めて、すべての人達が、デザインに接しているのに、
デザインの力や、可能性が田舎の街づくりや、人づくりにどのような活用性が
あるのかが、イメージできないのが、田舎人の実情なんですよね。
時代は、経済の豊かさよりも、人と人とのつながりや、価値感からくる心の豊かさに
幸せ感を感じる時代になりつつあるので、
滝川のような、田舎でも心の豊かさを感じられるような、
デザインされたまちづくりに、動かしていければいいなと思います。
そういう意味でも、この会議が、滝川で行われ、異文化を持つ人達が
滝川に集まり、人と人とのつながりが生まれることは、いいことですね。

Photo by Koji Sakai
田中辰幸 美容室経営 新潟県
このような会議を開催いただきましたことを心より感謝いたします。
パネリストもいち参加者として費用を負担し、そのやりとりに耳を傾けるべく聴衆が取り囲むというスタイルの根底に会議中キーワードとして出ていた「志」や「誇り」の一端を垣間見たのは僕だけではないように思います。
そして会議終了後も懇談会、2次会、3次会まで用意してくださり、その会議の延長戦のごとくパネラーと一般参加者が語らう時間がもたれたこと、そして宿泊者にとっては奥村さんによってデザインされた朝食を五感で堪能するところまでデザイン会議が続いているように感じられたことも含めて、とても充実した時間が過ごせたことを主催いただいたデザイン会議委員会並びに事務局の方々に感謝したいです。

議論の方向性についても、会議の冒頭にて原さんが言われたとように、この会議の意義は結論を出すことよりも問いを並べることにある、ということは大いに賛成いたします。
全体像を把握することなしに根本的な問題と対峙することはできません。
ですから短絡的なわかりやすい結論を急ぐことへの自制は必要で重要な態度であることもその通りだと思います。
しかしながら、3時間終わってみて思うに、田んぼの畦道をぐるぐる回り続けていただけで終わってしまった感がないわけではありません。
願わくは、何らかの着地点を真剣に目指して、田んぼのなかに飛び込み、意見をぶつけ合って泥んこになりながら3時間動き続ける、ということであって欲しかった、と。
いや十分になっていたよ、という方もおられるかもしれませんが、僕にはぶつかり合いよりもすれ違いの方が多く、議論の次数が高まらないままの横滑りだったような気がしています。(あんな豪華メンバーだといやがおうにも期待は高まってしまいますからね)

ビジネス(いかに効率的にお金を生むのか?)ということとデザイン(暮らしのなかにいかに誇りを宿らせるか?)ということがどちらも大事だということは少なくとも参加者みんなが思っていることだと思います。
でも、その問いの正解はそのバランスにある、というところをその最終的な答えとして認めてはいけないんじゃないか、と。
じゃどんなバランスであって、よき落としどころとはどう理解したらいいのだろう、というところまで行ってほしかったと思うわけです。

例えば、梅原さんがみかん農家さんに支払ったデザイン料が通常よりも割安であったことをどう理解したらいいのか。
西山さんはそれをデザインされたみかん箱のほうがそうじゃないふつうの箱に入れたときよりも儲かったから今年も去年に続いてお願いしたに違いない、と言われました。
本当にそうでしょうか?だとしたら次のようになりますよね。

デザイン料≦それによる利益上昇額

ビジネス的に考えるとこういうことになります。(じゃなかったら頼む意味ないよ)
でもそれ以外に割り切れない部分があるとするとこんなふうになります。

デザイン料≦それによる利益上昇額+(そのデザインで提供できる)誇り

おそらく梅原さんは上記の等式を逆に見ることによってデザイン料を安く抑えたのでしょう。もちろんおじさんの懐具合を勘案しながら。こんなふうに、梅原さんはお願いされたのに、このデザイン料でいいですか?と逆にお願いしているところがすてきですよね。
少なくとも勝ち負けのタームで考えていては至らない結論であることは間違いありません。
そういう関わり合いによる喜び(決してめんどくささ、とか、時間の浪費とは捉えずに)も大切な要素であると考えたいものです。

ではその誇りとはお金というみんなが共有可能な単位に置き換えられるのか、ということがでてきます。
マネーに置き換えないとよくわからないよ、それは価値があると言ったってそれはあなたの主観的価値観に過ぎないんでしょう、と言われてしまいますからね。
そんなことを考えていると、デザインというのは余剰的なぜいたくな行為なのかなぁなどと思ってきました。
ビジネス的なアプローチでみるとこぼれ落ちるもの、なくなってしまうもの。ビジネスでうまくやったあとに可能な余技のような。それをどうやって、守るのか、維持していくのか。

僕は新潟に生まれ、新潟で育ちました。
ローカルは東京を向いている、という発言がありましたが、まさに新潟は田中角栄首相のおがげで1982年に上越新幹線が開通し、その先駆的存在として、脱田舎へ向けて邁進しました。そういう都市への志向性はその土地らしさと引き替えに、代替可能な町並みへの整備(破壊)を推し進める結果となりました。佐渡島も都市からアクセス可能な「島」の魅力と引き替えに手に入れた便利さの代償は観光立県として生きてゆくのにどれだけ大きいのだろうかを考えるとぞっとします。
一方高速道路や新幹線駅から1時間以上離れた辺境の十日町市周辺が越後妻有トリエンナーレを開催していることが象徴的ですが、
そういう便利さの浸食が進みきれなかった、古き良き文化資産が残っている地域がデザイン(アート)と協力することによって全国から足を運んでもらえる土地になったということもローカルデザインを考える上で重要なことだと思います。

それと近いかたちで金沢は都市への志向を東京へのアクセスの難しさにより断念することにより、外向きのエネルギーが内側に、つまり地域性の強化につながり、そこに文化を重んじる土壌が混ぜ合わさることによって、21世紀美術館を街の真ん中に建設できた、とそんなふうに理解しています。
また、ある種の制約が地域としての内省を促し、自分たちの価値観を訴えかけることができるようになる、というふうにも。これは太郎吉蔵の改装に際して、予算がなくって何もしなくて結果的によかった、と中村さんは言われたことに近い気がしました。
しないことがその価値を高めうることへの気づき、ないと思われているその内部にこそ価値はありうる、という考えにスパイスを与えることがデザインの力である、と言えるのではないか、という具合に。

閑話休題。
ローカルデザインを考えるときに、デザインの価値レートのようなものがその地域地域によってだいぶ違うのではないか、ということも考えます。
それは佐藤卓さんが事前会議で言っておられた、地方では競合プレゼンテーションの参加フィーは出ないということにも繋がる話かとも思います。
東京もローカルだし、滝川もローカルであって、ニッポンはローカルの集合体であるという前提で言っても、それぞれのローカルでデザインという付加価値が高値で取引されるところと、ほとんどタダみたいなところまでいろいろある、ということです。
例えば、今回長野県の参加者の方が多かったことはその意識の高さの証左である、というのは考えすぎでしょうか。
とはいえ、そのデザインレートの安い地方に対して何ができるのかと言えば、やはりお金というわかりやすい指標を迂回させないとデザインの価値を納得してもらえないところにたどり着いてしまいそうです。

あれあれ、またお金とデザインの糸がほどけることなく、さらに絡まって戻ってきてしまいました。

こういう思考は同じ場所をぐるぐるしているように見えて螺旋状にちょっぴりでも上昇している、そんなふうに思いたいですね。
それは繰り返しのようで、繰り返しでないということ。
また原さんの冒頭の話に逆戻り。

また来年ぜひお邪魔させてください。
今回は本当にありがとうございました。

坂野長美 デザインレポーター 東京都
●太郎吉蔵デザイン会議寸感
・太郎吉蔵が、いわゆる内地の土蔵ではなく、みごとな美瑛軟石造なのにまず一驚しました。開拓時代の北海道とは、そうか左官はいなくて石工が、煉瓦造の技術なども取り込みながら活躍する天地だったのか? と解ったような気になったのは一人合点に過ぎませんが、その風土色をよく彫り起こした五十嵐アートとともに楽しめたものです。それはともかくこんな貴重な建築物がよく保存されたことは、ユニークな再活用のしかたと併せて改めておおいに共感できました。
・「建前ではなく本音」という会議コンセプトもよく貫徹されていたと思います。ウェルカムドリンクにパーティなど会議前後の演出も印象的で、型どおりなのが多いいろんな会議経験のなかでも、こんな風な歓待感持てたのも珍しい…というのもその一環でした。
・会議自体については、まず感じたのは事前のネット会議効果といったものでした。この名アイデアはもっぱら参加者向けのようで、「ローカルとデザイン」というテーマは、そこまでやらなきゃならないほど関心が低いのが普通なのか? と首傾けたほどでしたが、逆に関心度の高さで人選されたと窺えるスピーカーの諸先生にも、事前にお互いの考え方が解り合うというようなある共通のベース醸成に作用して、そこからの一歩進んだ意見交換がされていたように思います。
・併せて一口に言うと、滝川という北海道開拓時代の趣を止める場所で、デザインのまた新しい開拓時代が一つ、太郎吉蔵を拠点に始動しつつある…という感触が得られたといいますか。その開拓の鋤は「志」だ、と、五十嵐さんが最後にチラリと掲げられた書は告げたよう。これはいい、とカメラ向けるヒマもなく下ろされたのは残念でしたが、も一つ残念なのは皆さんのご発言が音量が低くて、私の小型テレコ程度では録音不良もいいところなことです。これは後ほど多摩美の高味先生が概略IT記録で奮闘されていたと知りひと安心しましたが、あの蔵内のドラマティック空間でそう音量上げる訳にはいかないことは理解できます。しかし今後もいろいろなテーマで会議継続されるでしょうから、何か名案あればご一考願いたいところです。

Photo by Koji Sakai
吉川尚喜 大塚オーミ陶業株式会社 滋賀県
初めての参加でしたが、会議の雰囲気
参加者へのこまやかな心配りにより
楽しく参加することができました。
ありがとう御座いました。

会議の内容は、難しい内容もありましたが
特にマネーについての討論は面白く聞かせて
いただきました。
梅原さんの信楽狸を店先から無くす事は、発想の
転換であり、奥村さんが次に違った狸を作ることが
重要との意見は、今の信楽に足らないところである
と思いました。

アートを製作する会社員ですので、時には顧客の
思いに費用も考えず製作したい案件もありますし、
利益を上げなければならない案件もあります。
パネリストの方々の意見は実情に近い内容でも
あり、次回の会議の方向進展が楽しみです。

角真央 信楽人-shigaraki field gallery project-代表 滋賀県

前半:普段から感じていること
「小さいときから美しいものを見て体験していないと、その感度は落ちる。デザイナー(芸術家も)は、美しいものを発信しつづけなければならない。」
・ デザイナーの社会貢献意義。地域ほど、[美しいもの]が見いだしにくい今、しつこくやってほしい。やりたい。
・ 格差(貧富の差)があればある程、美しいものはセレブだけのものになってしまう。

「引っ越しがコミュニケーション能力をつくる」
「土地を持っている人ほど、使っていない家や土地に住まない、売らない、貸さない」

・ 自分もよく引っ越した(京都市内)ので共感。
市内の引っ越しでもコミュニケーション能力は高まると思う。かえって土地への誇りを高めることになると思う。地域の色々な面を見ることになるので。
・ 滋賀県の近江商人たちは、ものすごく土地と家を持っているが、見事に売ったり貸したりしない。だからといって、地域への執着や誇りがあるわけではない。他の県で住んでいることもしばしば。地域自体が物置のような感覚。だから外部からの侵入や活動には否定的で保守的。そこを動かすまでいかなくても、理解するポイントをつかみたいが、いまだに分からない。

後半:お金の価値とやりとり、めぐり方
信楽のたぬきの休日(※注)は「たぬきの休みやでー(day)」11/8です。たぬきは昭和天皇が記念撮影のときに、たまたま隣に写ったのがはじまり。
11月は天皇がはじめて信楽に訪れた月。8日はひょうたん(たぬきが持っている)八つ縁起物を狸が持っていることからきています。
「『やらない』ことで生まれる経済効果をやってみる。」
お金がかかればよいというものではない。
それ相応であればよい。
それがたくさんあればよいと思う。
小さなサイクルの中、お金のめぐりがたくさんの人たちの間であって、それらがグルグル回遊して、それぞれの地域でわきたてば良いと思います。

※ 注
信楽の陶芸品を扱うほとんどの店先には膨大な量の「たぬき」の置物があるが、それらを隠す休日をつくってはどうかというアイデアが実現することになったそう。そのエピソードを梅原真さんが発言されたことを受けての感想です。


城井廣邦 マーケティングスーパーバイザー 株式会社起案家 東京都
北海道滝川で、この様なデザイン会議が開催されることに、とても意味を感じます。地方でこうした会議を開催することで、地方に多くの人の「活力」と「知」が集まり、新たな可能性が少しずつ生まれていくのではないかと思います。
会議の進行も無理することなく自然体でコラボレーションしながら進むのも良かったと思います。五十嵐さんの個性でしょうか、提案のキーワードを軸に衛星が回っている感じがしました。
できればもう少しお話を聞かせていただければと思いましたが、これはこれで良いのではとも思いました。
私は、多くのコトを学んだ様に思います。
そして、多くのコトがヒントとなり、今日の活力に変わっています。
こうした会議が全国色々なところで開催されると、日本に「生活の文化」が根付く様に思います。
今後も継続されることを期待しています。
来年も是非参加したいと考えています。

磯部孝文 GK設計 東京都
  

松場登美 (株)石見銀山生活文化研究所 所長 島根県

感想
(その1)
太郎吉蔵の存在に感銘を受けた 空間の力、場の力

(その2)
まるで一般参加者である自分がパネリストの一人であるかのように錯覚するほど 引き込まれてしまった。心の中でディスカッションに参加していました。

(その3)
日頃、自分自身に問い質している議題がいくつか出て議論された。答えを得たというより確認ができたという印象だった。

(その4)
後半、マネーについてのディスカッションになったが、マネーより優先させるべきものの存在が見えてきた。何を優先させるかは正に自分自身の生き方の問題だと感じた。

(その5)
テーマのローカルとデザインというところのディスカッションをもっと深めていただきたかった。

(その6)
マネーに換算しなければ、ローカルは豊かだと思います。ローカルの人がそのことに気がつけば——ですが。

(その7)
人は集い語り合うことで成長できることもあることを実感しました。

(その8)
クールとかホットだとかの表現がありましたが、基本的に、あの場では全員がホットだったと思います。あの空間は人をホットにさせる何かがあると思います。

番外編
Photo by Koji Sakai

太郎吉蔵デザイン会議後、「hotel miura kaen」ロビーでの懇談会。
フードディレクター奥村文絵さんのコンセプトは『Eat+ Eat-』。
 ウミヤマ 道産鮭の自家製スモークと滝川産山芋のピンチョス
 アカキイロ 池田牛のステーキ 生とうもろこしを添えて
 トロトロパリパリ 2つの卵とメルバトーストの出逢い
などをつまみ、プロセッコ(イタリア、ヴェネト州の白ぶどう発泡酒)で乾杯。
パネリストと一般参加者の垣根がなくなり、話は弾む。

 
Photo by Asako Hada
会議の夜、hotel miura kaenに宿泊したのは、参加者の約半数。
宿泊者の中には、翌朝の特別朝食を楽しみにされていた方も多かったのでは?
ホテル内レストラン「il cielo」では、奥村文絵さんがお出迎え。
道内近郊の新鮮な食材が色鮮やかに並ぶ様子の美しいこと。もちろん、美味しさは格別!